マザーボードの品質や価格を決める要素の一つとして、VRM(電圧レギュレータモジュール)のフェーズ数というのがあります。
聞き慣れない単語かもしれませんが、地味にマザーボードの性能を左右する仕組みだったりします。
今回はそんなマザーボードのVRMのフェーズ数について解説したいと思います。
マザーボードのVRMのフェーズ数とはなんぞや
マザーボードは、コンデンサーの質や各種インターフェースの充実度も大事ですが、VRMのフェーズ数というのも、重要です。
そもそもVRMとは、Voltage Regulator Moduleの略で日本語に約すと電圧レギュレータモジュールと呼ばれます。
このVRMは、電源ユニットから供給するされた電圧を「CPUに供給する電圧を生成する」という物です。
つまり、VRMは「CPUに電気を供給する回路の数」と考えて貰えれば良いです。
この数が多いと、CPUへの電流供給がきめ細かく分散されるので、コンデンサーへの負担が減ってCPUに安定した電流が供給されます。
発熱という面でも複数のVRMがある方が、発熱が分散され、放熱効果が増します。
しかし、CPUに安定した電流が供給されるという事は、フェーズ数の多いマザーボード程消費電力は増える傾向にあり、逆に少ないと消費電力は少なくて済みます。
VRAM数は以下のように考えれば良いと思います。
VRMを構成する主なパーツ
そのVRMは以下のようなパーツで構成されています。
PWMコントローラ | PWM(Pulse Width Modulation-パルス幅変調)周波数の周期を一定にして、電流や電圧などのパルス幅を変調する装置 |
MOSFET | VRMに使われるスイッチングデバイス。オーバークロック・モデルでは発熱が大きくなるので、MOSFET上にヒートシンクの取り付けが必要な場合もある。 |
コイル | エネルギーを蓄積していて、電源電圧がなくなった場合に放出する。 |
ドライバIC | MOSFETをスイッチングする信号を生成するドライバ。 |
コンデンサ | 回路内で電気を蓄えたりそれを放電する物。マザーボードには高耐久性の固体電解コンデンサが採用されるのが一般的です。 |
VRMのフェーズ数の目安
フェーズ数の目安としては、6つ以上というのが基本的な目安ですが、2024年現在で買える最廉価くらすのマザーボードでもVRMは6つある物もあるので、そこまで心配する必要はありません。
ただし、MOSFETがディスクリート型(チップが2つにわかれている)で変換効率が悪い奴だと価格が安い代わりに、変換効率が悪い影響でCPU(特にCore i7クラス)が本来の性能を発揮出来ないという事もあります。
逆に、MOSFETが変換効率に優れる統合型MOSFET(DrMOSやSPSとも呼ばれる)だと、値は張るものの、変換効率が良いのでCPUが本来の性能を発揮出来ます。
こうした違いは、廉価なCPUだったり、そこまで重たい作業をしない場合などは気にする必要はありません。
しかし、ハイエンドなCPUだったり、ゲームなどで必要消費電力が増す環境だった場合、CPUは200Wの電力を欲しがっているのに、安いマザーボードのVRM(MOSFET)だと半分の電力しか供給出来ないといった事になります。
まとめ:VRMのフェーズ数は確かに大事だけど
VRMのフェーズ数や質は確かに大事ですが、概ね3万円台くらいのマザーボードであれば、VRMのフェーズ数・質ともに優秀なはずなのでそこまで神経質になる必要はありません。
それよりも、各種インターフェイスの充実度や拡張性などその他の要素の方が大事だったりします。
なので、VRMのフェーズ数や質はマザーボードを選ぶ一つの基準として、頭の片隅に置いておくという程度で充分でしょう。
それでは今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました。